リハビリ始まり
少しずつ動けるように
交通事故で入院し、3日を過ぎた頃から、少し声が出るようになり、手足も少し動くようになった。
少しづつ回復してきた!
午前中、定期的に医師が7、8名で各ベッドを巡回してくる。
そして手足を動かせと言われる。
麻痺のレベルチェックだ。
推測だが、事前に「この患者はどんな状態かか」を巡回する前にカルテを見ながら話をしているのでは、と思った。
記録上の症状と、実際の患者との差を確認しているように見えたので。
毎日少しづつ回復してきて、少し喋れるようになったら、巡回で来た医師たちが、
「hyoga67さんが喋った!!!」、
少し手足を上げたら、
「hyoga67さんが動いた!!!」、
と医師たちの間にインパクトが走るのがこちらにも伝わってくる。
担当の医師からは「手足を動かせ!」と常に言われていたので、
ううう、
とうなりながらなんとか動かそうとしていた。
でもあまり動かなかった。
後で担当の医師に聞いたら、
「君は動けるようになるとは思ってなかった。
動け!って言い続けて、万が一にも動くようになるかもしれない、
と思って言い続けていた」
とのこと。
巡回の医師たちも経験上、私が回復すると予測はしていなかった、だから私が回復して動いたので、驚いてたのだろう。
何度も書いた気がするが、担当の医師からも何度も
「君はレアケースだ」と言われていた。
レアケースでわかんないこと片付けんなよ、との私のひそかな思いが、不満そうな顔の表情から伝わったのか、後でその医師は文献にあたってくれ、「似たような事例があった」と教えてくれた。
リハビリ開始
少しずつ回復して動く範囲が少しづつ広がってきたので、リハビリが始まった。
初日は、ベッドに作業療法士の方が来て、手足を動かすということをやった。
最初は、
「オレの左手足は動かないんだよ!、
何するかわかんないけどムダだよ!」
と思っていた。
身体が急に不自由になってヤケになってました。
作業療法士の方すいませんでした。後で優良患者になれるよう努めましたんで。
医師も動くのか、回復するのか予想できない、ので、本人も単純に「オレは回復できるさ!」とかまったく考えられなかった。
それより先に最速の電動車イスづくりに頭がいっていた…、何でだろう?
しかし、作業療法士の方が手足を動かしていると…、
あれっ?
左の手の指が少し動くようになった!!
(このころは、手足が動かせたが、指はほとんど握れませんでした)
「もしかしてまた、
エレキギター弾けるようになるかもっ?!」
と、うれしくて叫んでしまった。
(と言っても人前で弾くほどの腕ではないですが…)
調子に乗って作業療法士の方から教わった、手足の運動をそのあとは、やり続けた。
動いている手足の先を良く見ながらやってくれとのこと。視覚のフィードバックが意味があるらしい。
リハビリの前後で急に回復してきて、ベッドで起き上がれるようになったりした。
筋トレしてる?
ちなみに、その作業療法士の方が寝たきりだった身体をほぐしてくれたが、
「大胸筋とか、上腕三頭筋とか、随分発達してますね?
何かやってますか?」
と言って驚いている。
ジムに行っていた、と答え、ジム通いを勧めておいた。
(そのころ私は体が動かなかったので、パートナーとジム退会の手続きの話をしていた…)
事故前の話になるが、ジムに行っていると言うと、
大抵逆の意味で驚かれていた(特に女性)。
「(ジムに行ってるようにムキムキに)見えない」と。
ジムに行っているというと、ムキムキになるために行くもの、と一般的なイメージができているようだ。ボディビルやっているんですね、とか言われるし。
私は筋トレはムキムキになるためにやっていないし、
なるべく筋肥大しないようにやっているので意図通りなんだが。
しかし作業療法士さんには筋トレはすぐにバレたようだ。
なので「この動作は中臀筋にアプローチしているんですか」とか(半端な知識で)雑談させてもらうことにした。
病院で担当してる患者さんには、あまり筋肉がある方が私以外いないため、驚かれたようだ。
50代の私は若輩者となる、患者の年齢層からすると、やむをえないが。
しかし筋トレの普及率が非常に低いとも言える。肝心な層に筋トレの普及が足りない。
病室でも、
「スモーデッド、治ったら早くやりたいねえ」とか
会話が弾むようになるといいけど。
でも今は自分が立って歩けるようになるのが先決だ。
通っていたジムは病院の近くで、窓から見える場所にあった。
入院中、ジムを眺めることができたが、遠い、違う世界の景色のように見えていた。