頭打って動けず
対抗の右折車が、私のクロスバイクの目の前に、同じ進行方向の停車中のミニバンから突然出てきて、なすすべなくぶつかった。
クロスバイクは事故担当の警官の方によると、「ジャックナイフ状態」だったとのこと。
私は自転車から放り出され、相手のクルマのボンネットにアタマから落ちた。
意識は無くなり、次に気がついたら、周りの人たちが呼びかけていた。
「大丈夫ですよ」と言って立ち上がろうとしたが、身体は全く動かず、返事もできない。
救急車で運ばれ、病院らしきところに着く。
その間も呼びかけに応えられない。
手を動かせ足を動かせに右手足は反応できたが、左手足は動かない。声も出せない。
脳挫傷
幸い、ボンネットの上に落ちたせいか、頭、首、背中などの骨折がなかった。
この後本格的なリハビリのために転院した施設のカルテのシステム上は、びまん性軸索損傷、との記述があると、言語療法士から聞いた。各方面に提示するために出してもらった診断書上はその記載はなかった。
左手足は棒のよう
手足はいつもは、動かそうと思えば、いつでも思った通りに動くものだった。
しかしいくらうなって左手足を持ち上げようとしても何も変化せず、ただの棒のようだった。気合いを入れても動かない!
後で診断書を見ると、脳外傷による左手足の麻痺、となっていた。
ここはどこ?
看護師の方に、
「ここがどこだかわかりますか?」
と聞かれたが、病院名を告げられてないのと、運ばれてから、ずっと寝ている状態のため、天井しか見えない。今いる場所は全くわからない。
「こ、後楽園ホール」とか、
「美人がたくさんいるから天国ですか?」と
言いたかったが、口が麻痺して喋れないので首を振るしかできない。
家の近くの大きな病院ということを聞いた。
ここから3日ほど寝たきり、かつ眠ったり起きたり、だった。
1カ月ほど頭痛がひどく、頭痛薬を処方してもらっても効かなかった。
電動車いすに乗るしかない、と、この時考えいた。
で、どう改造すれば電動車いすが速くできるのか、調べなきゃ、と思っていた。
違法改造ならあきらめるが。
仕事場まで遠いので仕事を変えるしかないとも。
決まりきった生活から、急に先が全くわからない生活になった。
起きあがれないのでトイレも行けない。
部屋が暑いのに喋れないので何もできない。
字はキレイな方がいい
筆談はできるだろうと右手でパートナーにして欲しいことを紙に書いてみるが、字が汚くて全く読めないようだ。
この時点でパートナーは
「完全にこの人は壊れた、もうこの人とコミュニケーションは取れない」
と、思ったそう。
親戚に脳梗塞になった方がいて、コミュニケーションが全く取れなかったとのこと。それと重なって見えたらしい。
ただし、字が汚いのは、事故の前からなので、事故のせいではないのだが。
字はキレイにこしたことはない。